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2004年09月03日

ザクロ (ざくろ)|ペルシャ(イラン)料理|日暮里

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ユニークなペルシャ料理店

※以前の場所から少し移動しました。

【日暮里】"谷根千"の名称で、今や観光地になった日暮里駅周辺。「ザクロ (ざくろ ZAKURO)」は、そんな昔ながらの日本の下町情緒あふれる地域に、不思議と溶け込んでいる、とびきりユニークなペルシャ&トルコ料理レストランです。

ランチの食べ放題が1000円、ディナーの食べ放題が2000円(2008年1月現在)という安さも魅力。2007年より、従来のベリーダンス・ショーに加えて、毎週木・土曜の夜に、日本で唯一のウズベクダンサーのユルドゥス(YULDUZ)さんによるウズベキスタン・ダンスショーが行なわれています。もちろんどちらもチャージは無料。

ウズベクダンスは官能的な踊りではありませんが、ベリーダンスショーはもう珍しくなくなってしまったので、イスラムらしく、民族色あふれた可愛らしいダンスが新鮮でした。

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シチューやキャバブ(ケバブ=肉の串焼き)は定番だが、出てくる料理は、毎日少しずつ違うおまかせスタイル。コースのようでコースでなく、いきなりオードブルの前にお菓子が出てくることも(笑)。「はいは?い」といいながら、アリさんがお皿に盛ったスナックやお菓子を各テーブルに配りにやってくる。

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ほかにはイランのカスピ海沿岸に住むギル族のククという料理、イランの珍しい魚料理(左写真)、クルドの料理などが登場。六本木の「アラジン」や高円寺の「ボルボル」のような正統派ペルシャ料理ではなく、地方色豊かなペルシャ?トルコ系料理がお得意のようだ。メソポタミア文明の流れを汲み、紀元前3000年からの歴史を持つペルシャの懐の深さを感じる。

トルコワイン、トルコビールなど別料金のドリンクが充実しているので、料理は、2000円の食べきれないコース+ドリンク別料金を選ぶのがおすすめ。ちなみに、かつて別フロアで営業していたウズベキスタン料理店の「ZAMZAM」は、現在は「ザクロ」と同じフロアで展開している様子(外の看板はそのままなのだけれど...)。


「ザクロ」は、ちょこちょこ通ううちに、いつの間にか常連の仲間入りをしてしまい、おかげで店主のアリさんとすっかり親しくなりました。フロアで仕事中は、ビョーキなのかと思うくらい(笑)明るい彼も、素顔は意外と真面目なよう。時にきわどく、アクの強いノリは、好き嫌いが大いに分かれるところでしょうが、いつもお客さんに喜んでもらうことを第一に考え、「自分の子供のように可愛い」というお店で、休む間もなく働く、仕事上では真のプロフェッショナルです。

アリさんの母国イランをはじめ、従業員はイスラム系の国出身者が多いようですが、入れ替わりもけっこう激しい様子。多いときは10カ国・地域近くに及ぶ多民族な面々ということで、日本人の私たちには想像できない摩擦があるのかもしれません。絶対君主的なオーナーと従業員の関係を思い浮かべてしまうのですが、少なくとも、料理のクォリティを保つために苦労されているのではないでしょうか。

一度、お店の食材を見せてもらったことがありますが、羊肉や果物のざくろなど、現地出身者として納得できる高品質のものしか使わないと言われていたのが印象的でした。それは、たくさんの料理を供するなどもてなしを大切にする、イラン=ペルシャ人のしきたりと誇りのためだといいます。

そして、この値上げのご時世に、「食べきれないコース」2000円を敢行し続けているのはエライ!これも、そんなペルシャのホスピタリティの伝統を守っているためかもしれませんね。厨房で真面目に働く方々にも感謝したいところです。

珍しい料理に舌鼓を打つだけではなく、チャイハネと呼ばれるペルシャ絨毯の座敷席でくつろげたり、中東の民族衣装を着せられたり、シーシャという水タバコを体験できたり、ベリーダンスのショーを観られたり(もちろん、すべて無料!)、そして、さまざまな料理の文化的な背景を説明してもらえたり...。エンターティンメント満載の「ザクロ」は、レストランの領域を超えた、アリさん流「ペルシャのフード・テーマパーク」とでもいえそうです。

私もここで、フィルタのかからない、温かくて平和的な素のままのペルシャ?イスラム文化の魅力を知りました。

最近ではお店が有名になりすぎたのか、ワルノリしすぎでは?、なんて感想もちらほら聞こえてきます。レストランは生き物ですから、時とともに変わってしまう可能性がありますが、ヘタな芸人をしのぐほどの、機関銃のような勢いで飛び出すアリさんの「おやじギャグ」と、顧客サービスが常に進化しているのは確か。

そして、どんなにおふざけモードでも、食べ物についてきちんと説明してくれるので、ペルシャやトルコ文化の勉強になります。

最近は、東京で異文化を体験するために、修学旅行の生徒さんたちも訪れるそうです。「ペルシャのレストランってみんなこんな風」だと思われてしまうのは困りますが(笑)、値段もお手ごろですので、エキゾチックな料理を大勢でワイワイと楽しみたい若い方、特に中東の初心者の方におすすめしたいと思います。

***

ところで、正統派のペルシャを知りたい方には、東池袋にある「ペルシャン・ダルビッシュ」がおすすめです。同じチャイハネ・スタイルのペルシャ料理レストランでも、ペルシャ古典音楽のミュージシャンあり、日本語が流暢で温厚なハミドさんが経営するこちらのお店では、ぐっとエレガントで芸術的なペルシャ文化を体験することができます。

こちらは、ペルシャ古典音楽を日本に紹介したいというハミドさんの意思により2007年にオープンしたレストランで、店内ではもちろん、ハミドさんによる素晴らしいペルシャ古典音楽のライブ(チャージ無料)が聴けますよ。「ざくろ」とは好対照に、大人の雰囲気でゆったりと文化交流を楽しみたい方向けです。

参照
東京にあるその他のイラン料理レストラン・リスト
イラン料理について


ザクロ (ざくろ)
東京都荒川区西日暮里3-13-2 谷中スタジオ1F
Tel. 03-5685-5313
http://zakuro.oops.jp/

■営業時間 Open: 11:00-23:00(LO22:30)
■定休日 Close: 水



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profile 著者:青木ゆり子 Author: Yurico Aoki

e-food.jp代表、各国・郷土料理研究家、全日本司厨士協会会員 調理師。主な著書:図鑑NEOまどあけずかん「せかいのりょうり」監修(小学館 2021)、「世界の郷土料理事典」(誠文堂新光社 2020)。

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